「書く」ことで生きていく––– web時代の文章の作り方とは。「自分」を仕事にする生き方、 #はあちゅう小野美由紀 編

あなたは何で文章を書くの?
なぜ、たくさんの人に読んで欲しいの?

透き通るように白い肌の人が問いかけた。

いくら言葉を尽くしたって、いくらフォロワーが増えたって、文字の限界は広がらない。それでも、文章を磨けば、影響力を持てば、誰かに強い気持ちを伝えることができる…?

コンスタントにいいものを生み出し、多くの人に読んでもらうにはどうすればいいか。

「『自分』を仕事にする生き方」刊行記念セミナー #はあちゅう小野美由紀 にて、「書く」仕事対談を伺いました。

文章の生み出し方のパターン、いろいろ

自分以外の人に向けて「書くこと」を始めたのはいつですか?
ライブドアブログからスタートしたはあちゅうさんと、mixiから始めた小野さん。

はあちゅうさんの場合は、ブログをきっかけに、出版や世界一周企画など、webでの発信を仕事にしていきました。

一方、小野さんのきっかけは「旅」。旅の記録を残すために、本という発表の形態を選んだのだそう(詳細は、小野さんのエッセイ「傷口から人生」でご覧になれます)。

傷口から人生」はパワーある一冊なので、ぜひ

文章が生み出される過程は、人それぞれ。

植物のようにするすると書くことが芽生えたり、洞窟を掘りすすめるように深く潜ったり、頭にぱっと浮かんだ写真を描写する作業を経たりして物語を生み出すスタイルがあります。

小野さんは写真型の文章を作る人で、2月9日に発売の新刊「メゾン刻の湯」は、いくつかの写真(場面)を繋げるように書かれた小説。

一方、音楽を耳でコピーするように、流れてくる言葉をキーボードで打ち込むスタイルもあり、はあちゅうさんはこちらに当てはまります。

Q.書かなきゃ、と思うのですが、なかなか続きません。作品を書き上げるはどうすればいいでしょうか?

「村上春樹でさえやっていることを、なぜ私がやらずに作品を作れますか?(小野さん)」

答えは、書き続けること。

朝起きる。自分で決めた量だけ文字を書く。書き続ける。コンディションを整えるために、毎日の生活を作っていく…

生み出した作品を世に広めることができる人は、「物事を実現するには、実現するための行動をとるしかない」ということを理解して、淡々と実行している人。

モチベーションを外部に求めないとか、成功の秘訣に頼らないとか、目の前で話す二人が、色んな弁解や理由づけを押しやって、もくもくと作業する姿を想像しては、孤高だなあ、と思いました。

終盤ではあちゅうさんが答えた、今後書きたいもの。

「小説です。やり残した宿題みたいにずっと引っかかっていて…。伝えるには色々な手段があって、本を出すことが全てではないと思うようになりました。例えばtwitterの言葉が誰かにものすごく響くこともあります。

それでも小説に挑戦するのは、もはやロマンの域なんだと思います。」

小野さんが答えた、今後書きたいもの。
自分が憤った経験を振り返ってみて…。

「言語化されない種類の抑圧、大きなものに封殺される個人への抵抗をテーマにしたものを書きたいです。

エッセイは小刀のように切れはするけれど、小説の持つ威力はさらに大きかった。
『物語』の力でもっと大きなナタを振るいたい。」

Q.読まれる(拡散される)文章の書き方を教えてください。

「文章を広めるために、『波に乗っている媒体に投稿する』『その媒体のカラーにあった記事を作る』といったコツがあります(はあちゅうさん)」

一方で、自分の文章のチャームポイントを見つけて、磨いて売りにすることも必要なのだそう。

「自己批判からは何も生まれません(小野さん)」

それから、発信の姿勢として、わたしは何の専門家として発言したいのか?を考えること。

「バズらせるのは簡単だけど、一度バズったらその記事はあなたの名刺になります。どんな名刺を持って世に出たいかを常に意識しておく必要があります(はあちゅうさん)」

Q.書けないときはどうすればいいですか?

「他のことをします。書けない日は書けない日なので、その他のできることから着手していきます(はあちゅうさん)」

「他人の脳を借りて解決します。誰かに相談する、インタビューをするなど…

一人で煮詰まっているということは、自分のキャパシティを超えているということなので、他の人の考えに触れることで上手くいくことがあります。(小野さん)」

Q.コンディションを保つために 気をつけていることを教えて下さい

「きちんとご飯を食べることです。 無理だと思った日は無理しないようにしています。(はあちゅうさん)」

「1日一回料理をすることです。 意識的に左脳モードを肉体モードに変換しています。(小野さん)」

小野さんのモード切替え。

「傷口から人生」に、主人公が銭湯通いで元気を取り戻す場面がある。

銭湯は空白だ。自分に染み付いた価値基準からいっとき離れて、空白の場所を持つことが、私をどれだけ、やしなってくれることか。

__「傷口から人生」小野美由紀

これも、モードが変わることによって楽になった例なのかもしれないなあと思いました。

登壇されたお二人の著書はこちらから。
2018年に出会えてよかった本ばかりです。

書き起こしたら何万字になるのだろう。

いくつもの話題を消化して、軽やかに2時間が過ぎた。
時計は22時前、今日はまだ水曜日。

こんな時間に、椅子を片付けたり、お見送りをしたりする社員さんがいる。楽しいおしゃべりを聞いた気分だったけど、私たちはお金を払っていろんな人の時間を買ったのだなあ。

はあちゅうさんは、小説に感じているロマンを「堀江貴文さんにとってのロケットのような」と例えていたけど、堀江さんのロマンを私は知らないし、やっぱり創作は100%ビジネスで、銭湯は癒しなんかじゃないかもしれない。

世界は仰天エピソードや素敵な恋の話で飽和しきっていて、新しい物語がなくても人生は問題なく過ぎていく。言葉は万能ではないし、思ったことの10分の1も伝わらない。

それでも書くことをやめないのは、「文字で何かを伝える」という夢をものすごく信じているからで、

誰かとわかり合いたいから、私たちは今日もキーボードに向かうのだろうな。

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